コンパス〜いつもそばで〜
二人で高校の時の話、担任の話、地元の話など、共通の話題をいっぱいした後で、彼との間に四年前のような穏やかな空気が流れていた時、ふとサインを頼んだ。
「あっ、そうだ。ねっ、宮下くん」
「ん?」
「あの、サインちょうだい」
サインが欲しいと言うと、彼がふふっと笑ったのが分かって、少し恥ずかしくなり、
「お守り代わりに、ね」
なんて、聞かれてもないことを言ってしまう。
なんとなく、彼のものを持っていたら今度の二次試験頑張れそうで。
それを他力本願というのなら、神頼みじゃないけれど、宮下くん頼みでもしたくなるんだ。
毎日頑張ってる人からのお守りは、きっと効果大だと思うから。