コンパス〜いつもそばで〜

それでも、どうしたって心配で会いたくなる。

行ったところで会えるか分からない。
会えたとしても、何て声かけていいのかさえ思いつかない。

でも、四年前に見た、あんな背中の彼を放っておきたくない。


そう思うから




「それだけ、好きってことなんだね」

沙耶の真剣な言葉に視線を逸らすことなくコクリと頷くと、よかったってふわっと笑うから、少しだけ緊張が解れた。


「明日美の本気知れたから、よかった」

そう言ってまた優しく笑うから調子が狂う。

「よしっ!私は全力で応援するからっ」

「あ、ありがと」


なんだかよく分からないけれど沙耶に全力応援宣言もらってしまった。

「じゃ、帰ろっか」

トンっと肩を叩いて、帰るよ〜って言う沙耶に、


「えっ?あ、帰るんじゃなくて、私、」

宮下くんに会いに行く


そう言おうとしたら、沙耶は、ふふっと笑うと


「今日、休みなんだって」

私の言いたいことはお見通しだというようにそう返事をした。


「休み?」

「そ。さっきコウくんが言ってた。今日は休みなんだって」

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