【短編】7
ミツルは泣きそうな顔で僕に尋ねた。

「まさか水城が顔で選ぶとは……なあ?」

「好きなわけじゃないんだし、諦めないで言ってみたら?」

僕らの会話は成り立たなかった。
僕は、ミツルにがんばってほしかった。
カコに変な恋愛をしてほしくないと思っているから。
ナナメになったカコを真っ直ぐにしてくれそうなのはミツルだけだろうから。
理由はそれだけ。


「………なんでオレが水城のこと好きだって気づいた?」

ミツルはやっと僕の意図に気づいたらしい。
僕は笑いながら、答えた。

「はっきりしたのは昨日だよ」


やっぱりか、とミツルはつぶやいた。
僕はカコもミツルも好きだから、二人が付き合ってくれるのは嬉しい(僕が独りになるのは寂しいけど)。

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