【短編】7
「まぁ、ミツル頑張ってよ」

ミツルはただ頷く。
本当に頑張ってほしいと思う。

そこへ毛先をいじりながらカコが入ってきた。
苛立っているようだ。
自分からは口を開かなかったから、フラれたのかと思った。

「カコ?」

「帰りまで待つことになった」

「え!?」

僕らは声を揃えて身を乗り出した。
カコは不満そうに言う。

「火野さんが、金森君の前で泣き出したの。金森君慌てちゃって。」

カコは淡々と話した。

「金森君、火野さんのこと好きだったみたい。もちろん火野さんもね」

ハッピーエンドでムカつく、とカコは唸った。
そのあとは、金森の悪口のオンパレードで、僕らはカコの愚痴を聞くだけとなった。

告白の返事はなかったけど、結局金森は火野さんとうまくまとまってくれたらしい。


愚痴るカコに見えないように、ミツルは笑ってた。


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