【短編】7
「だからっ!なんで今日来たの?とか、珍しいね、とか、………」
ミツルが言いたいことが大体わかった。
だけどそれは僕が聞いたんじゃ意味がなかった。
ミツルから直接聞いてやろうと「ほかには?」と返した。

ミツルは困惑して、少し黙った後小さな声でつぶやいた。

「…………なにかあったの?とか………」


その時、今まで部誌を書いていたカコが、顔を上げずに答えた。


「金森君が、私に改めて返事を寄越したのよ。
それがちょっと難しい話だっただけ。」

カコは淡々と答えた。

「難しい話?」

「金森君、私と付き合ってくれるんだって。
お試し期間だけど。」

ミツルの顔が強張った。

「でね、代わりに火野さんに誰か紹介してやってくれないか、って言うの」

「で、ミツルを紹介したの?」

「そうよ」


『ひどいオンナだな』と思った。
カコは知らないのだろう。
カコを想ってるオトコが自分の隣に座ってるなんて。

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