【短編】7
「だからサチとは、もう一緒に帰れない」











――悪夢だ。

全身に汗をかいて目が覚めた。

あの日以来、幼なじみという特権が通用しなくなった。
特権はいつまでも使えると思ってたのに、あの日を境にあたしはタイチにとって『ただの幼なじみ』になったのだ。

いつまでも近くにいられると錯覚してたせいで、タイチが知らない人になってたことに気がつかなかった。

知らない間に、タイチは“オトコ”になってた。
タイチ自身もだけど、それ以上に私の中で。


だけど気づくのが遅すぎた。
もう、遅い。
間に合わなかった。


今更タイチに想いを告げたところで、成就するわけもない。



この気持ちのやり場がない。
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