【短編】7
「おはよう、金森君」
「あ……おはよう」

水城がそこに座っていた。
「折角だから、お話ししてもいい?」

俺はただただ頷いた。
水城は学年で知らない人はいないと言われるほどの『冷笑美人』だ。
サチとは正反対とも言える。

「私、金森君が好きなの」
「え?」
「金森君は、私のことどう思う?」

いきなりの告白だった。
なんて答えたら良いのかわからなくて、俺は情けなく立ったままだった。

「返事は急じゃなくていいの。
私、待つから」

にこりと微笑んだ水城は、あだ名とは似つかない笑顔を見せた。

「木曜に必ず返事をするよ」

彼女は「わかったわ」というと、何もなかったかのように、自分の机の中からおもむろに本を取り出し読み始めた。

俺の頭の中はひどく混乱していた。

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