ミルクの追憶
そして二コラはクロエが止めるのにも構わずに迷うことなくその黒光りしたヴァイオリンを弾いた。
ヴィヴァルディ――冬。
どうしてその選曲なのか定かではないけれど、二コラはいつだってことあるごとにこの曲を弾くのだ。
「だめじゃない、もし二コラが本当に死んだらどうするのよ」
「だいじょうぶだよ、所詮はキミの言う通り、ジンクスだもの」
小さい頃から冒険好きの二コラの性格を知っていたクロエは頭を抱えた。