ミルクの追憶





「こっちにきて」


少年に言われてついていくと、そこは大きなバスルーム。



「キミはこのバスタブがお気に入りだったね。それから、このミルク色のお湯、はいってごらんよ」

「なんなの?」

「いいから、はいってごらん」


少女は言われた通り服を脱ぐ。

そしてゆっくりとそのミルクの液体の中にからだを滑り込ませた。



「甘い、匂いがするわ」

「そうだよ、舐めてごらん」

「……チョコレート、ミルクチョコレート」

「キミの一番、好きだったものだから」


バスタブとミルクチョコ。

それが少女のかつて一番好きだったものだった。

ミルク色のそれに負けないくらいに白く透き通った少女の肌。

少年はじっと見つめて、たまらず彼女の腕を握った。



「なに?」

「ごめんよ……」


少年はその腕に縋りつくようにキスをした。

ミルクに浸かった彼女に腕は甘く、少年の涙が交ると塩辛くなる。



「ごめんよ、……――エ」

「え?なんて?」

「……ロエ、」





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