ミルクの追憶
「嘘だ……、信じられ、ぼく、は、なんて馬鹿なことを」
いまさら気づいてももう遅いのだ。
彼は彼女を深く追いつめ、その心を傷つけ、命まで奪ってしまったのだから。
「……ク、ロエ、」
その名前しか頭に浮かばなかった。
表現しきれないほどの悔恨と絶望、深い哀しみ――。
そのときだった。
“少年、おまえはこれで本当によかったのか?”
聴こえた声は低く、地の底から響くよう。
それは本物の、悪魔の声だった。