恋はいっぽから!
辿り着いた職員室。
「失礼します。」
ドアを開けたすぐそこに……、
「遅い。」
不機嫌そうな、ニシハルがいた。
「お前、よくあんなに爆睡できたもんだな。そんなに退屈か?」
「………。いいえ。眠たかったから寝ただけです。」
「………。勉強のし過ぎじゃねーの。…いや、数学の成績だけ見ればそれはナイか。頭いーくせに、何だかなぁ……。」
「………。話はそれだけですか?」
あーあ、面倒臭い。
今更そんなの聞かされたって……、堪える訳もないのに。
「………お前の担任、嘆いてたぞ。三船だけ懐かないって。」
……そうでしょうとも。
「…まあ別に、俺は懐かれなくても困ることはないけど……。」
「………。」
うわぁ……、
露骨。
誰にでも平等に対応してるフリして。
腹の底では、ひいきやえこひいきを繰り返しているのね。
なんて腹黒い…。
「……でも。……はい、コレ。」
「………はい?」
ニシハルは…、
私に何かを手渡す。
「…………?」
……お菓子?
…って、コレ……
Ca入りウエハースとな?!
(バニラ味…)
………し、失礼な!!
「……こんなの、いりません。」
「あ?何だと?」
突き返す私に、イラッとした顔のニシハル。
「馬鹿にしてるんですか。」
「……はあ?」
「苛立っているように見えますか?これが普通なのに……。」
「……。確かにあんまり表情ねーもんな、お前は。いっつも眉吊り上げて…、緊張した顔してる。」
「………。」
え……?
緊張……?
「…まあ、そんなに身構えるなって。誰もお前が嫌いとかそういんじゃねーんだから。近寄り難いオーラ放ってるってだけで。」
「………。」
「でも…、ちゃんと知ってるよ。」
「………?」
「…お前、友達は沢山いるのな?この前、アイドルのモノマネしてクラスの奴らめっちゃ笑わせてたろ?偶然見ちゃったけど、あれはかなりの傑作だったなあ。それに、野郎共からも人気あるだろ~?なのに、だ。対教師になると一変。何だかな、このギャップは。」
なんたること!
……あのモノマネを…見られてたとは…!