恋はいっぽから!
「……真っ赤だな~♪真っ赤だな~♪リナちゃんのほっぺが………♪」
「……えッ?!私?」
グランドを見つめながら、ぼうっと呆けている莉奈ちゃんが……、
くるりとこちらに振り返った。
秋うらら(?)。
校庭に舞い上がる紅葉や桜の葉のダンスを横目に見ながら……
私は、彼女をじいっと観察中。
「……ってか、ヤダ。それ…、私?」
莉奈ちゃんは私の数学のノートをひょいっと覗き込むと……。
「あちゃ~…」というような顔つきで、溜め息をついた。
ノートには、走り描きで描いた莉奈ちゃんの横顔。
「いっぽ、似顔絵師にでもなるの?」
まじまじとそれを眺めると……
更に、顔を赤くする。
「……こんな顔、してたんだ。」
「……うん。最近、結構そうかも。」
私はパラパラとページをめくって……、
ここ最近の、莉奈ちゃんを描いたイラストを見せる。
「……コラ。勉強しろよ。数学の成績悪いのってこれが原因では?」
苦笑しながらも、愁いを帯びた瞳が……、とても綺麗。
彼女をこんな風にさせているその原因。
いや……、「元凶」は……。
窓の外にある。
「……どこがそんなにいいのかしら?」
グランドには、男子生徒とサッカーをしているニシハルの姿。
そう……、
莉奈ちゃんはきっと……。
彼に恋してる。