恋はいっぽから!
「やべ。もう行かねーと。」
「…もう行かれるんですか?」
「お前らと違って『先生』は忙しーの。」
……カチン。
「…それとも何?お前そんなに俺といたい?」
「………!願い下げですッ!」
バチンッ!
……はっ…、しまった。
思わず平手打ちを……!
先生の美しい顔に何てことを!
「痛っぇな。冗談だよ。」
ニシハルはふふんと妖艶な笑みを浮かべて。
さも大したことではないと言うような…余裕を見せつける。
「……じゃあな。」
颯爽とその場を離れる先生を……
私は、ただただ見つめる。
「……ラッキー。今日数学なかったけど、今ので目の保養完了。」
「……莉奈ちゃん。」
「ん?」
「……あの男のどこがそんなにいいの?」
「………。アンタがそれ言う?言っちゃう?てか、なぜに平手打ち?……やっぱあの時…何かあった?」
「いいえ。何にも?」
「…あ、そう?ふぅ~ん?」
疑いの眼差しを浴びせる莉奈ちゃん。
……うん。
わかっているのよ。
こんなことしたって何も変わらないって……。
莉奈ちゃん、あなたに本当のことを言ったら…
気にせずにはきっといられないわ。
今この状況を……
私は一体、どうすればいいのでしょう…。