恋はいっぽから!
小さな指が、
僕の人差し指の……ほんの先っぽをきゅっと握った。
「2818g?!あら、宏輔と同じ!」
「わ、ホント?」
ベッドに腰を下ろしたおばさんと、僕の母親とが…
僕にはよく解らない話をしては、時に相槌をうったり…声を上げて笑っていた。
その隣り。
透明なケースに入れられていた軟体動物が……
ふにゃふにゃとした手足をしきりに動かしては…
顔を真っ赤にして、何かを訴え掛けるかのように……
泣いていた。
「……ミルクかな。それともオムツ?」
母がひょいっと抱き上げる。
……泣き止む。
ケースへと…戻す。
……また……
泣く。
「………いつまで泣いてんの。」
僕はこの時10歳で……
初めて、未知の生物との………遭遇。
「……うんち…ではないみたいね。」
おしりをくんくんと嗅ぐおばさん。
「う〇こしたら臭いからすぐにわかるでしょ?」
僕は当然の如くそう言ってみたが……。
「宏輔、このくらいの赤ちゃんうんちは、まだそんなに臭くないのよ?ちょっとすっぱいような臭いがするくらい。」
「……なんで?」
「まだミルクしか飲まないから。」
「なんでミルクだけだと臭くないの?」
「「…………。」」
ついには、おばさんと二人…、黙りこんでしまった。