恋はいっぽから!
私はソレを胸に抱えて。
勢いよく玄関のドアを開けると……。
「……5分前!!」
仁王立ちした宏輔が…
携帯片手に待ち構えていた。
「…ちっ…。守りやがった。」
「……ただいま…。」
ごめんなさい、宏輔。
今はあなたの小言は…受け流させて下さい。
私のアタマの中にまだこだまする、先生の声を……
掻き消したくないのです。
「一歩、夕食はまだだろう?今日はすごいごちそ…」
「食べたのでいいです!」
「…え…、もう?…って、一歩~?」
背中に呼び掛ける宏輔の声を遮るように……
私は自室のドアをバタンっと閉める。
それから。
その場にしゃがみ込んで……。
先生から受けとったソレをじっと見つめる。
「…………。」
丁寧に丁寧に……
その包装を剥がして。
見えてきたのは、細長い箱。
「………。」
そっと開けてみると……。
そこには。
「………ネックレス…。」
小さな石が嵌め込まれた……
ネックレス。
「……帰り際に渡すなんて……。キザだわ。」
けれどやっぱり嬉しくて……。
目頭に熱いものが…込み上げる。
「これ……、ひょっとして…。」
私は部屋の明かりの下に……
ソレを掲げる。
キラキラと光を反射するそれは………。
「…もしや…、ダイヤ…?」
三船一歩、4月5日生まれの17歳……。
誕生石は……
ダイヤ。
「……いつの間に…知ったのかしら。」