恋はいっぽから!
「莉奈ちゃん、知ってる?」
「……ん?」
「ある名曲に幻の3番があることを。」
「……何?何の歌?」
早速食いついた莉奈ちゃんは……、
わくわくした顔つきで。
私の……、次の言葉を待っていた。
「どんぐりが主役の歌よ。」
「………ああ。どじょうが出てくるヤツ?」
「そう!」
私、三船 一歩は……
こうやって。
親友の莉奈ちゃんと過ごす時間が大好きであります。
莉奈ちゃんは……、
ちょっと人とは変わっているらしい私に……
嫌な顔ひとつせず、付き合ってくれるから。
「……でもさあ…、2番の歌詞って何だっけ?」
「……アラ、そこから話さなきゃいけないのね?」
歌には自信がないから…、
私は、詩吟を詠ずるかのようにして。
抑揚つけながら……
その歌詞を綴る。
都合により、歌詞をそのままお伝えできないから……
読者の皆様にはザッと物語にして教えてあげましょう。
どんぐりはとってもよろこんで…、どじょうとしばらく一緒に遊んでいました。
けれど、山(故郷かしら?)が恋しくなって…
しくしくと泣きだします。
しまいには…すっかりどじょうを困らせてしまいました。
これが……2番のあらすじ。(作:三船一歩)
もはや別の歌のようだって?
そりゃあそうよ。私が脚色しちゃってますから…。
致し方ないわね。
「……そういえば、そういう歌だったね。」
「懐かしいでしょ?」
「うん。で、で…?3番は?」
「ハイ。3番は、別の方が後から作詞して作ったそうよ。某有名新聞でその歌詞が取り上げられたことがあるの。」
「……へぇ~…。」
そう……、
その歌詞によるとね、
泣いてるどんぐりの元に、心優しい友達が……
飛んでくるの。
「……ああ、俺、その歌詞知ってる。」
「………?!」
なぬ……?!
なに奴?私のうんちくに茶々入れてくるとは……!