恋はいっぽから!
巡りめぐって、季節は………初夏を迎えました。
じめじめとした空気。
纏まりつく……
不穏な空気。
「皆さん。もう一度、多数決をとらせていただきます。」
私は掌で黒板をたたき付け、キッとクラスメイトを睨みつける。
「…………いきますよ。『フォークダンス』がいい方…、挙手をお願いします!…………………『ハイッ!!』」
……………。
フォークダンス、1票。
「では、続きまして…『肝試し』が良い方。」
一斉に手が挙がり……
「………。ひい、ふぅ、みぃ……………34票。」
私は…ガクリと肩を落とす。
「皆さん、このままでは肝試しに決定しますが…ホンットにいいのですね?」
拍手が起きて……
覆ることない、採決。
「む……、無念…。」
私はチョークで書かれた『肝試し』の文字の上に、小さく小さくハナマルをつけた。
「往生際わるいわ。諦めい、いっぽ。」
オオサカがケタケタと笑い……
トドメのひと言。
「くっ…、…かたじけない、ニシハル殿。そなたが認めた娯楽、皆にはちと荷が重かったようにございます。」
「ああ、そう?俺は別に何でもいいけどな。」
黙ってことの成り行きを見ていたニシハルは…
椅子にもたれかかって、さもどうでもいいかのような反応。
……そうなんデス。
夏休みに控える『勉強合宿』。
その初日に行う親睦行事の内容を…只今話し合い中。
「じゃあウチのクラスは『肝試し』って案で…、三船さん、委員会で話し合ってね☆」
最後にゃ担任の新見先生がそう締めくくり、私は学級委員のひと仕事を…終える。
「おかしいわね、たった1票しか入らぬとは…。」
ぶつくさ文句を言いながら、席へと…戻る。
何を隠そう、三船一歩18歳。
先生と……手と手をとり合い…踊りたかった……!!!