恋はいっぽから!





風夏は、俺の妹で……



2歳、年が離れている。



母親と共に遠方へと移り住んで、もう…10年。



両親の離婚によって、父方に引き取られた俺と…


母方に引き取られた彼女が会うことなど、ほとんど…なかった。





「これを冷蔵庫に入れてくれないか。」



「……。わかった。」




透明のタッパーに入った寒天は、まだ沢山残っていて……


親父がこれを口にしたのかは、わからないくらいだった。





「日陽。お前も早く行けよ。」



「……ああ。」







寒天を冷蔵庫にしまい、俺は自分の鞄を手にすると……




「また明日来るから。」




そう言って。



目も合わせずに……




病室を出た。






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