恋はいっぽから!
うっすらと積もる雪に、足を取られぬようにと…
慎重に、早足で…歩いていく。
彼はやっぱり生徒達に囲まれていて。
けれども……
もう、そんなことは気にならない。
スタスタと彼を追い越してしばらく先を歩いた所で……。
「……三船。」
彼が…呼び止める。
「………おはよう。」
「……オハヨウゴザイマス。」
これもまた……
いつもの挨拶。
「……たまには一緒に行くか?」
「……。結構です。」
「相変わらず冷たい奴だ。」
「………お互い様です。」
「……なあ…。…もう少しだな……。」
「……エ?」
「……試験…!」
「ええ、まあ……。」
「………応援してるよ。」
彼は私の鞄をピタリと指差して…屈託ない笑顔でさも嬉しそうに…笑う。
「………!」
ニシハルが指差した所には、合格祈願のお守りが…下げられていた。
「……ありがとう。」
「……ん?」
「……アリガトウゴザイマス!!!」
「………。……何が?」
どこまでこの人は……
意地悪なのかしら。
「……何でもありませんっっ。……では、お先に!」
でも……
なんて愛しい………。