恋の飛沫
「ん~~・・・・・・しょっと!」

 一旦腰を落として、顎近くまで水に沈むと、近藤は浮力を利用し、勢いを付けて夏帆を一気にプールサイドへ投げ上げた。

 ごん、とお尻を打ったが、そんなことは気にならない。
 夏帆はそのまま、その場にへたり込んだ。

「よっこらせっと」

 ひょい、と近藤が、水から上がってくる。
 そして、ちら、と夏帆を見た。

「びしょ濡れだね。当たり前だけど」

 ちょっと意地悪そうに笑うと、端のフェンスのほうへ移動し、そこに脱ぎ捨ててあったシャツを取った。
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