私の恋の相手は幽霊くん。


私は、先輩に篤真とのことを話した。


信じてくれたかなんてわからない。


いや、信じない方がおかしいと思う。


こんな、非現実的な話だもん。


「向こうは記憶がないのか」


「はい」


「…」


「信じてくれなくていいんです。
ただ、彼との思い出がそういう形だということです」


私しか覚えていない、
篤真との辛かったけど楽しかった思い出。


「いや、信じるよ」


私はその言葉を聞いた瞬間に涙が溢れた。


なんだか、軽くなった。


「泣くな。
松永は嘘をついたりしない」


優しく笑って私のことを抱きしめてくれた。


先輩。


私は、頑張れる気がします。


この話を篤真が聞いていたなんて。


そんなこと知らなかったから。


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