私の恋の相手は幽霊くん。
会社を出ると、
駐車場に向かった。
「俺の車、乗っていこ」
そう言って、白い車を指さした。
私は黙って頷いた。
ずっと求めていた人なのに。
こんなにも近くにいるのに。
とっても、遠いんだ。
私は後部座席に座ろうとした。
「隣きなよ」
「え、でも 」
「いいから」
仕方なく、となりに座った。
座ったのはいいけど、やっぱり。
ドキドキしてしまう。
エンジンをつけて出発すると、
相手から話しかけてきた。
「あの時はごめんね」
「え?」
「病院のとき」
「いいんです。
別に、仕方のないことだし」
「…仕事のあと、どっか行こうか」
「どうしてですか?」
「ま、いーじゃん」