私の恋の相手は幽霊くん。


会社を出ると、
駐車場に向かった。


「俺の車、乗っていこ」


そう言って、白い車を指さした。


私は黙って頷いた。


ずっと求めていた人なのに。


こんなにも近くにいるのに。


とっても、遠いんだ。


私は後部座席に座ろうとした。


「隣きなよ」


「え、でも 」


「いいから」


仕方なく、となりに座った。


座ったのはいいけど、やっぱり。


ドキドキしてしまう。


エンジンをつけて出発すると、
相手から話しかけてきた。


「あの時はごめんね」


「え?」


「病院のとき」


「いいんです。
別に、仕方のないことだし」


「…仕事のあと、どっか行こうか」


「どうしてですか?」


「ま、いーじゃん」


< 146 / 255 >

この作品をシェア

pagetop