私の恋の相手は幽霊くん。
何度も聞かれたこと。
あたしは何度も同じ回答をする。
それに、みんな同じ反応を示し、
それに応える。
それが終わると、おばさんはわかった、と
電話帳を取り出した。
「おばさんとね、真治くんは同級生なの」
「…」
「昔は、近くの一軒家に住んでたんだけど、
奥さんと別れちゃってここにはもういないの」
「今は…どこに?」
「今は、南の○○市に引っ越した。
その後のことはよく知らないわ」
そこまで、わかることができたなら、
一歩進歩したことになる。
それだけでもうれしかった。
「ありがとうございます」
おばさんは優しく笑って私の頭をなでた。
「結愛ちゃん、1人でがんばらなくてもいいんだからね」
なんて、いい人なんだろうか。
知っていたこと。
だけど、私が今日ずっと歩き回っていたこと
知っているみたいに、
そして、認めてくれたように言ってくれた。