私の恋の相手は幽霊くん。


実家の前に来ると、篤真はそこで止まった。


ここです、とも言っていないのに。


私の家はもう少し奥の方にある。


なのに、篤真はここで止まった。


「…坂上さん?」


「松永さんの名前、なんだっけ」


「結愛です」


そういうと、また車を発車させた。


どうしたんだろうか?


もしかして…、思い出した、とか?


「ここです」


「あ、あぁ」


「ありがとうございました」


お礼を言って車を出ると、
悲しそうに、私を見てきた。


「坂上さん?」


「…また、明日」


「あ、はい」


車はその言葉と同時に動いた。


< 151 / 255 >

この作品をシェア

pagetop