私の恋の相手は幽霊くん。
実家の前に来ると、篤真はそこで止まった。
ここです、とも言っていないのに。
私の家はもう少し奥の方にある。
なのに、篤真はここで止まった。
「…坂上さん?」
「松永さんの名前、なんだっけ」
「結愛です」
そういうと、また車を発車させた。
どうしたんだろうか?
もしかして…、思い出した、とか?
「ここです」
「あ、あぁ」
「ありがとうございました」
お礼を言って車を出ると、
悲しそうに、私を見てきた。
「坂上さん?」
「…また、明日」
「あ、はい」
車はその言葉と同時に動いた。