私の恋の相手は幽霊くん。
今日はもう、疲れてしまった。
服を取ってお風呂に向かおうとドアを開けた。
「ゆあ」
後ろから私を呼ぶ。
振り返るとベッドの上から窓の方へ移動していた。
「ゆあなら、俺の頼みを聞いてくれると思った」
「どういうこと?」
「俺は他の子にお願いしようとも思ってた。
だけど、みんなだめだった。
俺を見るなり、びっくりして倒れるんだ。
こんなにも寂しい思いなんだって気付いた。
友だちもみんなそうだ。
死んだはずのあいつがいるって」
そう言って、苦しそうに笑った。
「もう、諦めかけてた。
それでこの家の窓のところを通り過ぎた。
そしたら見えたんだよ、ゆあに。
何も、何もしていないのにゆあに見えた。
この子なんだって思えた」
「…」
「そんなことで俺はゆあに頼んだんだ。
ごめんな、迷惑かけちゃって」
「もしも、他に幽霊がそう言ってきたとしても、きっと篤真じゃなかったら受け入れてなかったよ」
そんなことを勝手に私の口が言った。
これはきっと、素直な気持ち。
「ゆあ…」
「お風呂、はいってくるね」