私の恋の相手は幽霊くん。
「泣きたいときにはいつでもこいよ。
悠のためにも、お前のためにも」
それだけ言って、来た道を戻っていった。
振り返って、ありがとう、というと、
手をあげてかえしてくれた。
「ゆあ」
さっきよりも低い声で私を呼ぶ。
ゆっくりと向き直った。
「なんで、すっぽかしたんだよ」
「…」
「ずっと待ってたのに、来なかった。
佑樹の家にいってたんだったらそう連絡入れろよ」
「……して」
「は?」
「どうして私ばっかり責められなきゃいけないの?!」
「ゆあ…?」
「待ち合わせ時間に遅れてたじゃん。
何してたわけ?」
聞きたい。怖い。けど、聞かなきゃ。
「何してたって…仕事」
「1人で?」
「あぁ。」
「…嘘つきだね、篤真は」
「何いってんの?」
「女の人と、いちゃついてたじゃない。
キスもしてた。
明日空いてないって言ってたのに、
あの人とは約束するんだね」
それだけ言って、逃げるように家に帰った。