私の恋の相手は幽霊くん。


成仏させてほしいとか?


いやいやいやいや。


なら私に言うこともない。


「伝えてほしいことがあるんだ」


「誰に?」


「生き別れた父親に」


父親に?


「どこに住んでるかなんてわからない。
ただ、俺は父親が嫌いではなかったと
そう伝えたいんだ」


嫌いではなかった。


まるで、自分が原因のような言い方。


「それを頼みたい」


「…」


「もちろん、手伝う。
絶対に危険な目には遭わせない」


そう言っている目は本気だった。


なぜかはわからない。


だけど、私も伝えたいと思った。


「いいよ、伝えます」


そう、勝手に口が言っていた。


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