私の恋の相手は幽霊くん。
「ごめんね、お待たせしました」
「いえ。大丈夫です」
「ここがあのこの住んでるところよ」
「ありがとうございます」
「…息子さんに。
まぁ、私の孫…ってことかしら」
「そうなりますね」
「ごめんなさいって伝えておいてね」
「どうして…?」
「…孫にまで心配をかけるばか息子で
っていう謝罪よ」
そう言って、悲しそうに笑った。
今、ここにいるのに。
おばあさんには見えていないだけなんです。
もっと、伝えてあげてほしい。
そう思ったけど、時間が来てしまう。
「おじゃましました」
「えぇ」
家から出て思った。
──もう、あの人には会えないんだろうな。
と。