私の恋の相手は幽霊くん。
そっと手首を見せると、
篤真はそっと私の手首に触れた。
感覚なんてない。
ただ、優しく撫でてくれる。
「篤真…?」
「痛かったよな…」
顔を上げて、私を見つめてくる。
痛かったけど、我慢できる痛み。
そう、思ってる。
「…他の人を好きになるって事は
その人以上に何かに努力している人が
いるってことで、仕方ないことなのにな」
どうして、
そんなにも私の味方をしてくれるんだろうか。
「俺も、生きてる頃は嫌だった。
別れる度に泣きつかれてまるで、
俺が悪いみたいになるんだ」
「…」
「周りも俺を責めてくる。
だけど、それ以上に魅力ある人がいたんだ。
その人以上に努力して輝いてる人が。
ひとつのことに集中し過ぎると、
他のことが目にいかなくなって
努力を怠る部分が出てくる。
そしたら、どんどん輝きは失うんだ」
「それは仕方ない事じゃないの?」
「…俺が言いたいのは、
自分のことで精一杯になって
他人のことを考えずに自分の幸せを
ただ考えてる人が好きじゃないって事」