愛のガチ契約

｢さっさと車に乗れ。
俺の車には乗れないか？｣

急に飴子の肩に掛けられた飯田のスーツのブレザー。

飴子は手触りも袖は通していないが着心地も最高級を想像させた。


｢早く乗れ。
俺が乗れないだろう。｣


飯田はため息をつくと軽くブレザーの上から飴子の背中を押す。



｢え。なんか言葉遣いめっちゃ変わって…｣
｢何か言ったか｣

｢ぃや…
といぅかあたし…こんなんじゃ｢五月蝿い｣




｢黙れ。
女が先に入るって決まってんだよ｣

飯田は飴子の肩を掴むとすぐさま飴子の両足を持ち上げた。


｢ちょっ…待ってよ！あたしはまだっ｣
｢全く、言うことを聞かない客人だ…｣

｢第一、お姫様だっこしてなんて誰も頼んでない！｣
｢そしてとてつもなく…五月蝿い｣



｢坊ちゃまっ…｣

傘を持ちながらも蓮見はいきなりの主人の行動に驚きを隠せない。


｢蓮見。早く車を出せ。
これじゃ俺が風邪を引く。
あとこの服を湿らせた客人もな｣

客人という言葉を強調する飯田。


｢…はい、只今。｣


主人の飯田と持ち上げられた飴子が大きいドアの車内に入る。

蓮見は速やかに運転席に回る。


蓮見は静かに車はエンジンをふかした。
そして飯田邸という豪邸へ向かう。