愛のガチ契約
***   ***


黒ベンツがボロ高校の校門を入っていく。

来賓用の出入り口前までベンツは進むとブレーキを踏んだ。


まず運転席から開きジェントルマンを思わせる紳士が姿を現す。

そして後部座席側に回る。


**


「…ぉい!
来たぞ、金持ちが!」

ガヤガヤと教室はさらに盛り上がり
来賓側が見える窓へ生徒が押し寄せる。


「白髪の老人が出てきたぞ!」

いちいち反応しながら教室は
どぉーっと歓声に包まれていく。


「…だってよ。鞠」

またあぐらをかいた女子は
耳に指をつっこみ後ろに話す。

「そのようね…楽しみだわ、
ねぇ?優希」

鞠は優希を見て
意味深に黒く微笑んだ。


「その気味悪りぃ半笑い、やめてくれよ。
雷が落ちてきそうだぜ…」

優希は生徒でごった返す窓の隙間から空をみた。


「あら、半笑いじゃなく
こっちは微笑んだつもりなんだけど…」

鞠は首を傾げる。



「わかった、わかったから。
うわっ。
なんか怪しい雲があるような。
飴子、大丈夫かよ…
もう朝のホームルーム、始まっちまうぜ…」

優希は窓から見える雲を見ていまだ空席の飴子に呟いた。
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