愛のガチ契約
「おぃぉぃ…
ヤベェことになっちまったな…」


そう優希はいいながらも席を立つ。
でもまんざらでもないようで優希の顔は遊園地に行く前のちびっ子に見えた。
ヤンキー扱いされたのはもう頭にないのか…。


「そうね…同感だわ。
流石、優希ね…」

そう呟きながら鞠も席を立つ。


ざわっ、と教室が揺らぐ。
だが、鞠は無言プラス冷静な目をほかの生徒に向ける。


…一瞬で教室は独特の恐怖に包まれた。



「…飯田様、
こちらの髪長で更に湿り髪の遅刻女子も
同行させてもらって良ろしいかしら?」

鞠は意味深に微笑む。



「ん〜…いぃよ。
個人的にこの子も代表として連れて行きたいな?寺田センセ」

眼鏡はどこか黒く微笑みながらその目的者…飴子を見た。




「あ、嗚呼。
こいつ等でよろしければ…」

鬼寺の鬼の角はなくなった。
呆れたように手で顔を隠す。



「いきましょ、飴子」

「飴子、お前…ご推薦だな?」

優希はケタケタ笑いながら飴子にヘタクソなウィンクをした。

3人は鞄を握り直すと飯田という眼鏡男子の後ろを歩く。


ふと優希は飴子の肩をつかんだ。



「ほら、行くぜ?飴子」

優希は優しく飴子を誘導させて肩を持つ。

「え…意味、わかんないんですけど…
優ちゃん、鞠ちゃん?」

飴子は優希に肩を持たれながらも慌てて冷静な鞠に助けを求める。




「飴子。残念なんだけど…
私もよくわからないわ」

鞠はふだんと変わらぬ静かな声で答えた。


「フ、何を隠そう。
発端はアタシだけどねッ」

優希はまたケタケタと笑った。
廊下にケタケタ笑いが響く。
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