先生に会いたい
第3章
それぞれの想い
早いもので、いつ散るかとハラハラしていた私の大好きな桜の花は、ついに全部散ってしまい、いつの間にか葉桜へと姿を変えていた。
夏が、もうすぐやってくる。
私は、愛梨と一緒に数学係になった。
「桜が数学係!?大丈夫かぁ?本当に桜はドジだからなぁ……。愛梨、頼むな!」
先生はそう言って、いたずらっ子のように笑った。
また、先生の嬉しそうな顔。
親しいからこそ、こんな風にからかわれるんだ。
私も、『先生のバカ~!』なんて言い返しながら、心の中は幸せいっぱいだった。
それからというもの、数学係りを口実によく先生に会いに行った。
先生に褒められたくて、係の仕事も苦手な数学も頑張った。
先生は、生徒の頑張りをちゃんと分かってくれる。
「桜、最近頑張ってんじゃん!」
そんな先生の一言がもらえるだけで、私は幸せになれる。
先生からの言葉は、赤ペンよりも飴よりも、もっと大切な宝物だから……。
昼休みも、あれから毎日先生に会いに行っていた。
先生の笑顔を見るのが好き。
先生が呼ぶ私の名前が好き。
私と先生は、日を追うごとに仲良くなっていった。