先生に会いたい



くるみが、教室まで一緒に来てくれた。



「これから落ち着くまで、出来る限り私がずっと一緒にいるから。頑張るんだよ!荷物置いたらまた来る!」



そう言ってくれたくるみの手を放し、重い足取りで教室へ入る。



「おはよう……」



あいさつをしても、返してくれる人はいない。

誰も話しかけてくれない。


感じるのは、冷たい視線。

聞こえるのは、黒い噂。



「桜ちゃんって、愛梨ちゃんに協力するとか言っといて、城島先生のこと狙ってるらしいよ」


「嘘~!そんな子だと思わなかった!」


「愛梨ちゃんかわいそう……」



みんな、自分のことばっかり。


本当はみんな弱いんだ。

一人になりたくなくて、愛梨たちに媚び売ってるんだ。


集団グループは、弱い人たちの集まり。

一人の方がずっと強い。


私の好きなサックス演奏者も、孤独と戦って良い作品を作り出してる。



そして、私も一人。

でも、ここでは一人でも、本当は一人じゃない。


くるみがいるもん。

先生がいるもん。


ここは耐えて、強くなるんだ。


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