先生に会いたい
★先生目線★
昼休み。
俺は、会議室であいつを待つ。
あいつとは、秋月桜。
いつも俺を見つけると、『せんせ~!』と駆け寄ってくる、俺のかわいい生徒。
そんな桜に、俺はいつも元気をもらってた。
最近、目が回るほど忙しいけど、あいつといると疲れなんて吹っ飛んじまうんだ。
なのに、最近元気がない。
原因は、田中愛梨からのいじめ。
桜が元気ないと、俺も元気出ねぇよ……。
こういう時、教師ってフリだ。
一人の生徒を特別扱いすることは出来ない。
でも、俺はもう大分桜を特別扱いしてしまっているのかもしれない。
あいつをどうしても放っておけないんだ。
いつも笑顔で元気そうに見えて、本当は誰よりも重いものを抱えてる。
いじめられているのに、『いじめられる気持ちが分かるから』と言って、愛梨たちに言い返したり、やり返したりもしない。
親にも気を遣う。
番号もメアドも教えてやったのに、一度も連絡をよこさない。
きっと、俺に迷惑をかけまいとしているのだろう。
桜は、本当に優しい奴だから……。
でも、それじゃ意味ねぇだろ?
逆にそっちの方が心配になるの、あいつ分かってんのかぁ?
夜も心配で、ろくに寝てねぇし……。