先生に会いたい
第5章
アタック復活
いつの間にか、春とは違う夏の日差し。
セミの合唱コンクール。
愛梨との一件が解決し、また私の学校生活に平和が訪れた。
愛梨と私をいじめていた子たちも謝ってきてくれた。
前のように心から愛梨を信じることは、まだ出来ないけど……。
だんだんと、前みたいに愛梨と仲良くなっていけるといいな。
今、愛梨は彼氏とラブラブで、先生もそれを聞いて安心していた。
愛梨は、たまに彼氏とケンカすると、よく先生に『男心が分からない!』って、相談しに行ってたね。
それによく付き合わされてた私。
先生は嬉しそうに、『女の方が分かんねぇよ!』なんて言ってたっけ。
先生と私との仲も更に深まり、昼休みも授業も部活も、私の大好きな時間に戻った。
あれから、夜は毎日先生と電話をしている。
忙しいからか、先生からかけてくれることはやっぱり少なくて、私からかけることが多かった。
今日は何があったとか、今何してるとか、
そんな他愛のない会話が、すごく嬉しくて、楽しかった。
今までお母さんにしたかった話や、
忙しいからと聞いてくれなかった話を、全部先生にした。
寂しさなんて、感じなくなった。
たまに受話器の向こうから聞こえる先生の子供の声が、ちょっぴり切なかった。
そこに奥さんもいるんだね。
奥さん、本当に幸せなんだろうな。
私も生まれ変わって、先生の奥さんになりたいよ。
そんな私が最近恐れているのは、夏休み。
先生に会えない夏休み……。