先生に会いたい
先生に声をかけると、先生は『おう!来たな!』って笑ってた。
荷物を教室の隅に置いたとき、教室にペンケースを忘れてきたことに気付いた。
本当にドジな私。
「ごめん!ペンケース教室に忘れたから、取ってくる!」
先生とくるみを残して、教室まで走る。
校舎には吹奏楽の音色が響いてた。
息を切らしながら、先生とくるみのいる教室まで戻った。
「先生、桜のことどう思ってるの?」
くるみの声が聞こえた。
私は、足を止めた。
「俺の生徒だよ?」
「それだけ?桜、本当に先生のこと好きなんだよ?」
私の叶わない恋をいつも側で見守っていてくれていたくるみ。
くるみの気持ちがすごく嬉しかった。
先生の言葉をドキドキしながら待った。
傷つくのは分かっていた。
でも、ちょっと期待してたのかな。
「俺と桜は教師と生徒だからな。生徒に恋愛感情持っちゃいけないから……」
ほらね。
当たり前だよね、そんなの。
「じゃあ、せめて先生の1番の生徒くらいにはしてあげて……」
「ん。分かったよ!」
夢に見ていた先生の1番。
何だか虚しいよ。
ねぇ、先生。
もし私と先生が教師と生徒じゃなかったら、先生は私を恋愛対象として見てくれた?
奥さんがいなかったら、私のこと彼女にしてくれた?
奥さんにしてくれた?