先生に会いたい
溢れそうな涙を拭い、ドアを勢いよく開けた。
「ただいま!ごめんね!早く面接練習やろう!」
泣きそうな顔で私を見るくるみ。
ちょっと切ない笑顔で私を見る先生。
何でそんな顔するの?
私、何も聞いてないよ。
何も聞いてない。
「じゃあ、やるかぁ!超難しい質問3問出すから覚悟しとけよ!」
いつも通りの先生。
やっぱり先生は大人だ。
面接練習は、担任とやるよりうまくできなかった。
先生の目も顔も見れなかった。
言うことも全部かみかみ。
普段話すときは、なかなか目を合わせてくれない照れ屋な先生。
なのに、今日は真剣な顔で真っ直ぐ私を見る。
ずるいよ……先生。
私の将来の夢や希望。
それを聞いて、先生は何を思う?
「よし!戻って来ていいぞ~!」
先生のその1言でさっきまでの雰囲気が、がらりと変わる。
『緊張した~!』と、くるみとホッと胸を撫で下ろす。
「どーよ?やってみて!」
先生もいつもの先生に戻る。
やっぱり、すぐ目をそらす。
「かなりテンパった!いつもより全然出来なかったよぉ~」
「桜、もっと落ち着いてゆっくりじゃべれ!あとお前、手!どこやってた?」
先生からのアドバイスを全部、頭にインプットする。
でもね、普段から意識しなくても、先生の言ったことは自然に頭の中にインプットされてるんだよ。
絶対に頭の中から消えない。