先生に会いたい
「桜、何部だっけ?」
「……吹奏楽」
先生、『吹奏楽部なのに、何で俺のこと知ってんの?』って顔してる。
すごく分かりやすい。
笑っちゃうなぁ……。
すると、先生は突然ひらめいたような顔をした。
「お前、3階の音楽室のベランダでずっとラッパ吹いてた奴だ!」
「ラッパじゃないよぉ。サックスだよぉ……」
「あはははは!そっか!」
また大声で笑い出す先生。
先生が私のことを知っていた。
そのことが、何だか嬉しかった。
先生と話すのはすっごく楽しくて、先生の授業に出たいって思った。
先生はそのあとも、『そうかぁ~!桜はあそこから俺が怒ってんの見て、怖がってたのかぁ~!』って、なぜか嬉しそうにしていた。