先生に会いたい
試験を受けた席は、やたら寒い窓際の席だった。
今までやってきたことをフルに発揮し、全力で試験に臨んだ。
試験会場に持ってきた課題ノートは、どんなお守りよりも効果のある私のお守りだった。
塾の先生が『悔いの残らないようにやって来い!』と私に言った。
落ちたら絶対に悔いが残るものだと思っていた。
試験をやり終わって、“悔いが残らない”とは、どういうことなのか分かった。
面接もうまくできた。
手応えは十分。
やるだけやった。
これで落ちても、悔いはない。
入試が終わると、一気に気が抜けた。
先生と久々の電話をした。
入試の話と、気になっていたあのこと。
「先生、ノートありがとう!びっくりしたよ!いつ届けてくれたの?」
「ん?朝学校行くときにお前ん家寄って届けた!返すの遅くなってごめんな!」
「ううん。忙しいのにありがとう」
先生が私の家のポストにノートを入れていく姿を想像すると、可笑しかった。
すっごく嬉しかった。