俺と初めての恋愛をしよう
カーテンが開き、私服のワンピースに着替えた今日子が出てきた。

「先生、中島さん。とりあえず何点洋服を買えばいいですか? たくさん試着しすぎて分からなくなってしまいました」

 今日子は試着室にたまってしまった洋服を見て混乱してしまった。

「そうね、スカート3枚、カットソーが3枚。このワンピースと、野獣ご希望のカーディガン。ここではこんなものね」

 中島がその中から、着まわせる物をと考えながらチョイスした。

「はい。では会計をしてきます。今日、先生たちと別れたら、部長のところに行く予定なので、このワンピースではなく、こっちの買うワンピースに着替えていいでしょううか?」

 今日子はこれから買うワンピースを子供の様に植草に見せる。

「ええ、いいわよ。そうして」
「はい」

 はにかむ笑顔を見せレジに向かう今日子を見ながら、健気ねえ、と中島は目頭をまた熱くして言った。
不思議だ、今日は一日、人の目が気にならない。それに、鏡にうつる自分の顔がいつもと違うような気もしていた。
たくさんショッピングをしたかった。以前の今日子なら、目的の物を見定め、手早く買い物を済ませていたからだ。
 そんな楽しい時間も終わろうとしていたとき、

「さあ、本日の仕上げよ?」

 中島が腕まくりの仕草をしてみせた。

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