俺と初めての恋愛をしよう
今日子は満たされた気分で助手席に乗る。
後藤は運転席に座ると、今日子をじっと見つめた。

「部長？　どうかしましたか？」
「今日子、ごめん、抑えられない」

後藤はそういうと、助手席に座っている今日子を引き寄せ、キスをした。
唇が離れると、今日子は顔を両手で覆って、下を向いてしまった。

「どうした？」
「だって、周りに人が……恥ずかしいです」
「俺は、見せびらかしたいが、早くひとり占めもしたい。帰るか、マンションへ」
「はい」

後藤は、自宅マンションへ帰るべく車を走らせた。

後藤のマンションに着き、リビングへ通される。座ることもなく佇んでいると、後藤が今日子をまたじっと見つめる。

「……」
「……」
「綺麗になったな。本当に綺麗になった。いや、元から綺麗だったが、さらに美しい。植草に感謝しないといけないな」

はにかみながら、そっと抱きしめた。

「そんなに見られると恥ずかしいです」
「ちゃんと顔を見せてくれ、うつむいていてはみられない」

恥ずかしがり、うつむいた今日子の顔を上げさせる。

　「うん、この髪型もとてもよく似合っている。かわいいぞ？　自信をもて。な？」

　髪を撫でながら優しく問いかける。

「でも、プロのメイクで綺麗になっているだけです。メイクを落としたら、いつもの醜い顔です、きっと」

植草の作戦は成功のはずだが、今日子の傷ついた心は簡単にはふさがらないようだ。



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