誰も信じない
寺田さんと新田さんに気づかれないように、私はずっと息を潜めてた。



どうか私に気づかないで。

失恋した、みじめな私に気づかないで。



ダメ。涙が零れてきそう…。

涙が零れないように、私は慌てて空を見上げた。




どんよりとした雲は、私の心の色と同じでグレーだった。

そして今にも雨が降り出しそうに、重く大きく悲しげに膨らんでいた。







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