誰も信じない
「新田さんに断ればよかったのかな?って思うけど、それはそれで新田さんが傷つくからってずっと悩んでいて、でも天野さんを大切にしたかったから、私は天野さんを選んだはずなのに、結局裏切っていて。」


晃一が傷ついた心の痛みを思うと、自分のことのように苦しくなって、痛くなって涙が零れてくる。


「相手に断るのって、傷つけない方法はないと思うよ。橘さんは一樹が好きだったんでしょ?」


「はい。」


「自分に嘘をついて、それで幸せになれると思う?それって相手に失礼じゃない?気持ちがないのなら、正直にそれを伝えるべきだし、中途半端な気持ちで付き合う方が相手を傷つけるよ?」


寺田さんの言う通りだ。

私は晃一に失礼なことをしたんだね。






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