誰も信じない
「どうした?」


私の顔を覗き込む晃一は、すごく穏やかな表情をしていた。


「私、晃一を傷つけてし…」


そこまで言ったところで、私は晃一に口を手で塞がれた。


「もうそのことは言わなくていいから。僕は気にしてないし、新田に負けるつもりもない。」


塞いだ手の力をフッと緩めてくれた。

私はその晃一の手を握って、そっと私の口から外した。



晃一が私を熱い眼差しで見つめてくる。

目を逸らしたいのに、逸らすことができなくて、私も晃一を見つめていた。







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