やさしい色

「こんなとき、ミナがいてくれれば、もっと気の利いたこと言えるんだろうけどな……俺じゃあ役不足だ。ごめん……」

「そんなことない。誰かに話せただけでも、よかった」

「そっか。
 ―――元気出して、柊ちゃん。柊ちゃんなら、そんな見る目のない男なんかよりもっとずっといい人に、きっと巡り会えるから」

「そう、かな……?」

「そうだよ。柊ちゃんは可愛いし、やさしいし、一所懸命だれかを好きになってくれる女の子、神さまが誰も用意してないなんてことあるはずないじゃん」



 励ますように力強く放たれる言葉が、つらい。


 神さまが用意してくれた人の中にあなたが入っていないという事実をあなた自身の口から聞かされる酷さ。




 堪らない……。




 いっそバレンタインなんて、なくなってしまえばいいのに―――……



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