やさしい色

 その結果が出た日だった―――……。

 突きつけられたアルファベットに打ちのめされ、いよいよ追い詰められた和眞は、残すところほんのわずかの時間を我慢できなかったミナと、いよいよ衝突した。

 その年のバレンタイン、ミナからのチョコレートが和眞に手渡されることはなかった。


「結果はさんざんで、ミナともうまくいかなくなって、このまま同じ高校に進学するべきかどうかも真剣に考え直しはじめてた。

 途方に暮れたような目をして、塞ぎ込んでる彼が、ものすごく無防備に見えた」





 わたしに悪魔が囁いた。



< 44 / 66 >

この作品をシェア

pagetop