♥切なくてアブナイ△関係♥-短編-
運命の夏の日。-啓介side-
「私、奏夜君と付き合うことにしたの」
頭を固いもので殴られたような衝撃を感じて、
俺はただ驚きでその場を立ち尽くすほかなかった。
佇んでいるアスファルトがぐらりと揺れる、目眩がした。
「ちょっと恥ずかしいけど、啓ちゃんにも報告しとこうかと思って!」
にっこりと笑う幼馴染の君が俺は残酷な天使に思える。
なぜだ?
君と毎朝一緒に登校しているのは俺だ。
君の三日坊主のダイエットに付き合っていたのも俺だ。
君が宿題がわからないと唸って、そのたびに教えていたのも俺だ。
そう。いつも君が頼りにしていたのはいつもいつも――この俺だった。
小さい頃は公園で、家族ごっこをして俺が旦那さん役で君が奥さん役。
二人だけの定番の遊びだった。
いつか現実になる――甘い夢を見ていたのは俺だけだったのか?
なぁ……
時折恥ずかしそうに
『啓ちゃん大好きだよ』って言ってたあの言葉は嘘だったのか?