♥切なくてアブナイ△関係♥-短編-
私が助けてあげなくちゃ。
私が愛してあげなくちゃ。
じゃないと、この人はボロボロになっちゃう。
そうさせたのも、私、なんだから。
プチ、下着が外れる音がして、
開放感が訪れる。
彼の目が、いつもは涼しげな奏夜君の目が、いつもとは違う目をしていたのに気づいた。
瞳の奥が本能に揺れている、男の人の目だった。
……私、本当にこれからするの?
ふと、
啓ちゃんの顔が浮かんだ。
あの、夏の日。
別れを告げた運命の日。
啓ちゃんの寂しそうな感情を抑えた顔が蘇る。
何も言わず、去っていった、幼馴染の顔が。
「……やめよっか」
今にも消え入りそうな、声だった。
だけど、私にははっきりと聞こえていて。
不思議と胸を撫で下ろしている自分が嫌で嫌でたまらなかった。
「……奏夜君」
「泣いてるよ、梓」
「うそっ!」
そんなことない!
そんなはずあるわけない!
そう言おうと思った瞬間、
奏夜君に強く抱きしめられた。
自分が泣いているか確認も出来ずに。
「……、まだ啓介君のこと、好きなんだね?」
彼の腕の中でふるふると首を振る。
「いいんだ、でも、君は僕の彼女なんだから」
その一言がずしり、と重くのしかかり、
私の心に鍵をかけた。
……そんな気がした。