♥切なくてアブナイ△関係♥-短編-

俺は奏夜って奴より優れている自信がある。なぁ、あるんだよ……。


君にとって俺が全てと思ってもらえるように、
勉強や運動を頑張ってきた今までの努力が全部水の泡だったというのか。
いつも全国模試では1位だ。今までの勉強で分からないことはない。

運動もそうだ。インターハイにも出場した、どこぞの監督からもスカウトされたほどだ。

そう。
俺という完璧な人間なんて、この世の中に探してもまたといないというのに。

それなのに……、君は……。



「……じゃあ、ね!」

彼女は少し寂しそうな笑顔で俺の前から去ろうとする。

たくさんの不満を飲み込んで、俺は不器用に笑うしかない。
そんな自分が情けなくて、悔しくて、手のひらに爪が食い込んだ。
俺は怖い。
明日からは朝一番に見るのは彼女の顔ではなくなる。
彼女がいつも俺に作っていた趣味とかいう、あの不味いクッキーも食べれなくなる。
ダイエットと言って公園で彼女と笑いながら走ることもなくなる。
彼女という存在が、俺の中の一番が籠から飛び立つ瞬間を見送った。





「……なんでだよ」

俺は一生忘れないだろう。
……彼女に彼氏が出来た夏の日を。

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